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採用担当者向け 面接ガイド – 第3章 内定後のフォローと不採用時の配慮が、企業の印象を決定づける
優秀な人材の確保は、内定を出すことで終わるのではありません。本当のスタートは、内定後の対応から始まります。
候補者は、面接中の対応と同じくらい、面接後の扱いを記憶しています。以下のような対応は、これまで築いてきた好印象を損なう可能性があります。
・フィードバックの遅れ
・次のステップが曖昧
・事務的な引き継ぎのみで終わる対応
この「締めくくり」の段階こそが、採用が定着につながる瞬間です。
100%の確信がなくても、前進することは可能です。以下の2点に「はい」と言えるなら、迅速かつ果断に動くべきです。
1. 適切な支援があれば、この人は職務を遂行できるか?
2. 持っている価値が、課題を上回っているか?
内定提示前後は、人材紹介担当者との密な連携が成功の鍵です。以下を確認しましょう
・条件のすり合わせ(報酬、開始日、柔軟性など)
・候補者に響く形でのオファー提示方法
・対抗オファーや迷いへの備え
候補者を不採用とする場合でも、その伝え方には細心の注意が必要です。面接でのやり取りや期待感がある中での「お断り」は、候補者にとって印象に残る重要な瞬間です。
・人材紹介担当者に具体的な情報を共有する→ 候補者が納得できるよう、背景や理由を明確に伝えましょう。
・「適性がなかった」だけで終わらせず、建設的なフィードバックを提供する→ たとえば「〇〇の経験は評価されたが、△△のスキルが今回のポジションには不足していた」など、前向きな学びにつながる内容が望ましいです。
・長期的な視点を持つ→ 候補者は将来、顧客や取引先、あるいは別ポジションの候補者、紹介者になる可能性もあります。
「断り方」には、その人や組織の姿勢が表れます。たとえ不採用であっても、誠実で丁寧な対応をすることで、企業の信頼やブランド価値を高めることができます。
候補者から口頭で承諾を得た瞬間は、採用活動のゴールではなく、信頼関係を築く新たなスタートです。退職手続きの中で対抗オファーを受けたり、入社への迷いが生じたりすることもあるため、この期間に積極的かつ個人的な関わりを持つことが非常に重要です。
オンボーディングは、初出社前から始まっています。
・承諾後すぐに連絡し、決断を再確認する→ 候補者の気持ちを確認し、安心感を与えましょう。
・初出社までに何が起こるかを明確に伝える→ スケジュールや準備事項を共有し、不安を減らします。
・入社までの期間も継続的に連絡を取る→ 定期的なフォローで、関係性を深めましょう。
・チームに早めに紹介し、歓迎ムードを作る→ 社内での受け入れ体制を整え、候補者の期待感を高めます。
「この会社に来てよかった」と思ってもらえるような関わりを、入社前から意識的に築いていきましょう。
面接を終えたものの、採用に踏み切る確信が持てない。とはいえ、すぐに「不採用」と判断するには惜しい ─ そんな状況に直面することは少なくありません。
このようなときは、判断を先延ばしにするのではなく、積極的に情報を整理し、次の一手を考えることが重要です。
・人材紹介担当者に疑問点を共有する→ 候補者の印象や懸念点を率直に伝え、第三者の視点を得ましょう。
・「もう一度話すことで判断材料が増えるか?」と問いかける→ 再面談や追加の課題を通じて、見えていなかった側面を確認できます。
・「特定のスキルを確認できるか?」と検討する→ 実務に直結するスキルや対応力を、具体的な方法で見極めましょう。
・自信を持って前進するために必要な情報を明確にする→ 何が足りないのか、何を確認すれば納得できるのかを整理することで、次のステップが見えてきます。
最終段階では、以下のポイントを確認し、候補者との関係を円滑に締めくくることが重要です。
・採用・不採用・再検討のいずれかを、人材紹介担当者に明確に伝えたか?
・オファーの伝え方(トーンや優先事項)について、紹介担当者と意見を共有したか?
・オファー後も候補者と連絡を取り、辞退リスクを減らす工夫をしたか?
・不採用の連絡を、丁寧かつ専門的に行ったか?
・候補者が納得できるよう、建設的なフィードバックを提供したか?
・オンボーディングが事務的ではなく、候補者に「歓迎されている」と感じてもらえる内容になっているか?
面接は、チェックリストを埋める作業でも、カレンダー上の予定でもありません。チームに貢献し、成長し、刺激を与え、高めてくれる人材を見つける機会です。
完璧な面接方法は存在しません。しかし、明確さ、好奇心、柔軟性を持つことで、より良い判断ができ、関わるすべての人にとって良い体験を生み出すことができます。
そして、すべてを一人で行う必要はありません。人材紹介担当者は、役割の期待値の整理から、確信を持って採用を締めくくるまで、あらゆる段階で皆さまを支援するパートナーです。
採用担当者向け 面接ガイド – 第1章 –
面接準備と進行の質が、候補者の印象と判断精度を左右する
採用担当者向け 面接ガイド – 第2章 –
完璧さではなく、可能性と相性を見極める視点